スタッフブログ

2023.5.21

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建物の評価

みなさんこんにちは。

今回は、建物の評価についてです。

不動産業界では、主に法定耐用年数(税法上の年数)をもとに建物の評価を計算することが多いですのですが・・・実は・・・。

 

建物の耐用年数について

スミタスの「成功する不動産売却ガイド」でも解説されているとおり。

https://sumitas.jp/sell/guide/445/

建物の耐用年数は

①「建物の寿命(耐用年数)」

②「減価償却の期間(法定耐用年数)」

③「経済的価値がなくなるまでの期間(経済的耐用年数)」

の3種類があげられています。

 

今回のブログでは①「建物の寿命」についてすこし掘り下げてみようと思います。

実は、日本の住宅は欧米(米66年、英100年程度)に比べてとても寿命が短いといわれてきました(日本でも築100年を超えるような古民家はありますが。。)。http://www.g-cpc.org/about/greeting

石造りの欧米に比べて、日本は木造住宅だから寿命が短い、地震が多いから寿命が短い、温暖湿潤な気候だから・・・などいろいろな理由が言われていますが、一番の理由は何なのでしょう。

 

ところでなぜ木造住宅(住宅)の法定耐用年数は22年なのでしょう。

住宅ローンは35年で組まれる方が多いのに、先に耐用年数が来てしまいますよね!?

もちろん、建物が22年で償却して固定資産税が安くなるのはとてもありがたいことですが・・・

実は省令で定められている減価償却資産の耐用年数が定められたのは昭和26年頃、それから住宅性能は向上してきているけれども法定耐用年数は短縮されてきた経緯があります(例:木骨モルタルH9年は24年→H10年から22年、鉄筋コンクリートH9年60年→H10年から47年など)。

 

実際の建物(主要部分)の寿命は何年くらいなのでしょう?

建物寿命の第一人者小松幸夫先生は、木造建築の寿命については「木材は常に乾燥している状況では腐朽は生じないが、湿気や水分に接しているとすぐに腐朽してしまうことになる。かつての安普請の木造建築では、土台が地面に近いところにあり、地面からの湿気により比較的短い期間で腐朽を生じることが多かった。そのため寿命が20年とか30年といわれるようになったのではないか」と述べておられます(小松幸夫「特集建物の寿命と耐用年数」鑑定おおさかNo.46(2016)2頁)。

日本の建物が取壊される理由について、小松幸夫先生(小松幸夫 都市住宅学54号 (2006) 13頁)は「結論をいえば個々の建物がいつ寿命を終えるかは所有者の意思により決まる。もちろん災害によって壊れたり、失われたりするということもあるが、全体からみると割合としては非常に小さい」と言われています。

昔、木造の耐用年数が定められた頃は、実際の木造建物の寿命も20~30年だったのでしょう。

 

今は、建物も改良されて、住宅性能は格段に良くなっています。

先ほどの小松先生によると、住宅の平均寿命調査結果では

①木造2011年・・・65.03年

②木造2006年・・・54.00年

③木造1997年・・・43.53年

※木造住宅平均寿命は14年間21年強も長くなった。

(小松幸夫「特集建物の寿命と耐用年数」鑑定おおさかNo.46(2016)5頁)

とのこと。

 

昔からすると、木造住宅の実質的な寿命は倍以上になっているといえそうです。

(平成25年11月の国土交通省「中古住宅に係る建物評価手法の改善の方向性について」)では「・築後20年で価値ゼロという市場慣行にとらわれず、住宅の使用価値を反映した耐用年数を用いる。」とされています。

不動産実務でも徐々に法定耐用年数=建物寿命という慣習が見直されてきているところです。

 

建物評価について、徐々に時代が変わってきているのですね。

より公平で正確な不動産価格のアドバイスができるよう気を付けます。